時効とカルテ

医療訴訟においては、医師が過誤を犯したということを証明しなければいけません。明らかに医師のミスが分かると患者が思っていたとしても、それを第三者でも理解できるように客観的な証拠がなければいけません。もし、事故が起きてから数年ほど経過して初めて気がついた時には、早く訴訟をしないと時効が過ぎてしまいます。

事故が起きてすぐに患者がそれに気が付くことができれば、医療訴訟では有利となります。何故ならば、事故が起きてからの時間経過が短い方が、証拠が残されている可能性がかなり高いからです。特に重要な証拠となるのはカルテです。
しかし、もしも事故が起きて数年経っている場合には気をつけなければいけないことがあります。医師法では、カルテを最低でも5年保存することが決められています。これは裏を返せば、5年を過ぎてしまえばカルテを破棄してもいいということになります。

たとえまだ時効が過ぎていなかったとしても、肝心の証拠となるカルテが破棄されてしまえば、証拠を集めるのが困難となってしまい、裁判でも敗訴になる可能性が高くなるでしょう。最悪の場合、カルテを改ざんしている可能性もあります。どちらにしても、できるだけ早く医療事故を発見することが大切です。

催告と調停

医療ミスがあったことに気がついた時には、もうすぐ時効期間が過ぎてしまうという状況があります。この時に、よく取られる方法が二種類あり、それが催告と調停です。

催告とは民法153条によって規定されている制度であり、配達証明付内容証明郵便により行われることが多いです。この催告の手続きをすることによって、催告をしてから6ヶ月の間に訴訟を行うことによって、時効が消滅することを防ぐことができます。ただし、6ヶ月が過ぎてしまうと時効は消滅するため気をつけましょう。

調停を申立することと、裁判上で和解を申立することには類似性があるという考え方から、民法151条を準用することによって、調停申立をすると時効を中断する効果があると考えられています。注意点としては、調停が不成立になってから1ヶ月以内に本訴をしなければいけません。

上記のように万が一の際には時効を一時的に中断させるための方法があることは知っておきましょう。ただし、当然のことですが、時効が中断する前に医療過誤を発見することが大切です。何らかの治療を受けた後に、患者の状態が悪化したり、様子がおかしくなった時には、医療ミスが起きた可能性があるかどうかを考えておくと良いでしょう。医療を絶対視しないことが大切です。